青森県上北郡七戸町字町7-2
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ブログ

切磋琢磨

2024/10/07
 「マーリンズにとっては良くない日だったけど、野球にとっては良い日だった。」先日、ドジャースの大谷翔平選手が前人未踏の50本ホームラン、50盗塁を達成しました。ニュース速報でも流れるほど大々的に報道され、私も出勤直前にテレビで見て、自分の事ではないのに何か嬉しい気分で1日を過ごしました。多方面の方々からの祝福メッセージに溢れた1日でしたが、その中でとても印象に残ったものが上記のコメントです。これは、大谷選手が50ー50を達成した時に対戦していたチーム、マーリンズのシューメーカー監督のコメントです。この試合はマーリンズが大敗し、チームとしてはそれこそ「良くない日」ではありました。それでも、相手を讃えることもさることながら、野球界全体のことを考えたとても大きな視点で物事を見ていることに考えさせられました。
 さて、10月の徳目は「同時協力(どうじきょうりょく)」、「お互いに助け合おう」ということです。「協力」という言葉からは、「同じチームや組織で力を合わせる」というイメージが先行するかもしれません。しかし、今回の大谷選手の記録を巡る周囲の言葉を聞くと、真剣勝負で互いに高め合うような、例え同じチームではなくとも同じ志を持ちしのぎを削ることもまた、広い視点から見ると協力することに繋がるのだなと感じました。もちろんそれには、大谷選手の謙虚でひたむきな姿があるからこそ周りも呼応し、高め合っていけるのだと思います。周囲を想い共に成長しようとする姿を育てていきたいものです。(2024.10)

めったにない

2024/09/02
 クイズです。両親2人、祖父母4人、曾祖父母8人…と、さかのぼっていくと、10代前のご先祖様は何人いるでしょう。制限時間は、この文章を読み終えるまでです。
 先日のみたままつりはいかがだったでしょうか。仏教行事を絡めた夕涼み会のため、出店や盆踊りだけではなく、ご先祖様に想いを巡らすおつとめも行います。私たちはご先祖様が繋げてきてくれた「命」のお陰で生かされています。お盆は過ぎてしまいましたが、今度はお彼岸がやってきます。お彼岸の中日は、太陽が真西に沈む秋分の日と同日です。亡くなった方が向かう世界を「彼(か)の岸」と言い「極楽浄土」という場所があります。「西方浄土」とも呼ばれ、西の方角にあるとされているため、正確な西を知ることの出来る秋分の日がお彼岸の中日でもあります。どうぞ、お墓参りなどをして改めて命の繋がりについてご家庭でも考えるお彼岸にして頂ければと思います。
 今月の徳目は「報恩感謝」「あらゆることを有り難く感じよう」です。繋がってきた命を今度はどのように活かすかが大切です。来月には運動会がやってきます。仲間に感謝し協力することも、ライバルがいることに感謝し切磋琢磨して競争することも命を活かす方法の一つです。ステキな運動会になるよう職員一同頑張ります。 
 クイズの正解です。10代前のご先祖様は1,024人です。ちなみに、20代さかのぼると1,048,576人のご先祖様たちがいて、両親から20代前までの人数を全て足していくと、現在の青森県の人口約120万人を超える2,097,150人になります。改めて考えるとすごい数で、そのうち1人でも欠けていたら、私たちの命はありません。ご先祖様たちとの“奇跡的”な連なりで、私たちの命は繋がっているんですね。(2024.9)

仲良く

2024/08/07
 【「好き」に生きることは大切だけど、「相手」も一度きりの人生である──僕たちはよく「自分らしく生きろ」って言われます。それは大切なことですが、相手だって同じです。例えば、自分の趣味に没頭するのはいいけど、それで大切な人との時間を全く取らないのはどうですか?「僕は好きなことをしてるだけ」じゃなくて、相手の人生も大切にする。そんなバランス感覚が必要です。】とある記事に書かれていた内容です。個を大事にすることはもちろん大切ですが、私たちは多くの人やモノに支えられて活かされています。周りを大事にする前提があるからこそ「個」を大切に出来るのではないでしょうか。
 さて、8月の徳目は「自利利他(じりりた)」「自分を高め人に尽くそう」です。保育園のお約束「明るく・正しく・仲良く」の「仲良く」について、子どもたちには「お友達に『ありがとう』と言えたり、お友達から『ありがとう』って言ってもらえることをしよう」と話しています。「僕はこれをしたくないから」「私はこっちをしたいから」とみんながそれぞれ好きなことをするだけでは、「チャレンジする」といった積極性が育たないだけでなく、そもそも集団行動の意味がありません。みんなで同じ事を共有する機会があるからこそ、他者を思いやる力が身に付くのだと思います。だからこそ、まずは目の前のことに取り組む習慣を身につける事が大事なのではないでしょうか。行動に移せない原因には、慣れていなかったり、見通しがもてなかったりと経験不足によることも多くあります。乗り気ではないからと本人の要求をそのまま受け止めるだけではなく、取り組める環境を整え促すこともまた大事なことであり、その積み重ねが積極性や思いやりの土台となっていくのだと思います。
 目の前の仕事が文字通り机の上に山積みになってることもありますが、コツコツ取り組まなければと思いを新たにできました…(2024.8)

親切と深切

2024/07/01
「親切」はかつて「深切」とも書き表されていました。そして「相手の身になって、その人のために何かをすること」を「親切」、「特に思い入れが深く切実であること」を「深切」と使い分けされていたそうです。そんな中、この「しんせつ」について興味深い解釈をしているものがあったので紹介します。【「親切」とは,友達などの内部に深く宿っている無限の「希望」と「可能性」とを引き出してあげることを言います。「深切」とは,誰にでも楽しくなるようにしてあげることを言います。】単純に他者に何かをしてあげることが「しんせつ」ではなく、成長できるように、または前向きになれるように関わることが本当の意味で「しんせつ」なのだと考えさせられました。
 さて、7月の徳目は「布施奉仕(ふせほうし)」「誰にでも親切にしよう」です。「布施」は「(品物などを)あげる」「奉仕」は「やってあげる」といったイメージがあるかもしれませんが、相手が成長できるのか、前向きになれるのかが非常に大事なポイントであると感じます。自分自身の子育てを振り返ると、何かをしてあげることは簡単で手っ取り早いため、とっさにやってあげていることがあったなと感じます。皆さんは如何でしょうか。
 子どもの成長や前向きな姿勢に繋がるのかをその都度考えてやってあげるかどうか、やってあげるとしてもどこまでやってあげるのか判断する、もう一度心に留めておきたいものです。(2024.7)

想いを繋ぐ

2024/06/03
 『義勇さんは錆兎から託されたものを繋いでいかないんですか?』
 現在、アニメ鬼滅の刃第5弾柱稽古編が放映されています。鬼滅の刃は残虐な描写もあって、子どもに見せることは賛否両論あり、私も子どもへの影響は慎重に考えなければならないと考えています。しかし、ストーリーの完成度はもちろんのこと、物語の様々な部分に仏教の考え方がちりばめられており、私自身非常に興味深く見ています。先述の台詞は、主人公の炭治郎が過去の出来事により立ち直れずにいる水柱、冨岡義勇の背中を押した言葉です。「想いを繋ぐ」は鬼滅の刃の大きなテーマの1つだと思いますが、このことで、義勇は自分の命を活かすことができ、鬼殺隊が本当の意味で一枚岩になるための重要な場面となりました。
 さて、6月の徳目は「生命尊重(せいめいそんちょう)」「命を大切にしよう」です。どんな命も突然生まれるのではなく過去から脈々と繋がっており、周りに支えられ命が生かされています。だからこそこれまでを大切にし、周りに感謝し、次に繋げることを考えていくことが回り回って命を大切にすることになると思います。「個」を大切にすることは必要ですが「自分『だけ』」ではなく「自分『も』」という視点が重要です。自分のやりたいことが自然と周りを想うことに繋がっているような子どもたちが育っていく環境をこれからも模索していきます。
 鬼滅の刃と仏教を絡めて論じているお坊さんは実は結構います。その中でも稲田ズイキというお坊さんのお話は、現代と仏教を考える際に私が一番の拠り所にさせて頂いている方です。ご興味があれば是非検索してみてください。(2024.6)

ダメ!ちゃんとして

2024/05/09
 「躾(しつけ)」は「身を美しくする」という先人達の思いが込められた国字(日本で作った漢字)で、もともとは「しつけ糸」という言葉もある通り、「着物を仕付ける」ところから成り立った言葉です。そんな「躾」について、興味深い文章があったのでご紹介します。【五歳から七歳の子どもたちは、いよいよしつけ糸をはずしはじめる年齢にあたります。それまでは親が外側から枠組みを与えて、子どもに行為や生活習慣をかたちづくらせていたのですが、いよいよその枠をはずして、子どもが自分の力でみずからの行為や生活習慣を生み出しはじめる時期に入っていきます。しつけ糸をはずすことは、いうまでもなく、子どもを本人の自律にゆだねることです。(中略)しつけが不要になるようにしつける、といってよいかもしれません。(心理学者、岡本夏木さん:元京都大学・京都女子大学教授)】まずは決まりや習慣で形作るからこそ、何を基準に行動すべきかを考えられるようになり、子どもたちが自らの力で周囲と仲良く暮らせるようになるのだと思います。
 5月の徳目は「持戒和合(じかいわごう)」「決まりを守り、集団生活を楽しもう」です。しつけ糸が外せるような土台を作るためには、子どもたちへわかりやすく伝え、取り組みやすい環境を作ることが重要です。大人のイメージ通りではないと「ちゃんとして」と言ってしまいがちですが、この「ちゃんと」は非常に曖昧です。「ちゃんと」のイメージを具体的に表すと、大人同士ですら合っていないこともよくあり、子どもに伝えるとなれば尚更です。また、例えばおもちゃやお菓子など本人のお気に入りが近くに見える場所で「集中して勉強しなさい」と言っても、それは大人でもはかどらない環境です。ただ「ダメ!ちゃんとして」ではなく、こちらのイメージが具体的に子どもに伝わり、そして取り組みやすい環境を考えることが、いずれ外すことを考えた「しつけ糸」になるのだと思います。
 「ちゃんと」「きちんと」「しっかり」…振り返ってみると結構遣っている曖昧な言葉ですが、皆さんはいかがですか?(2024.5)

「聴く」ということ

2024/04/01
 ご進級おめでとうございます。お家の方と一緒に進級をお祝いできることは、子ども達にとって新たな気持ちで今年度を迎える機会となります。また、職員も改めて気を引き締める機会にもなります。保護者の皆様と連携しながら今年1年子ども達にとってより良い環境作りを進めていきたいと思います。
 今年度はめろんさんとぶどうさん、くるみさんとすももさんが同じお部屋で生活することとしました。異なる年齢の子どもが同じ空間にいることで、安全面や各お子様の成長差に更なる配慮が必要となりますが、年上の子たちが率先してリーダーとなったり、年下の子に思いやりを示したりすることで年下の子達はそれを学び、双方がコミュニケーションスキルを磨きより様々なことに興味関心を持てるといった利点もあります。同年齢保育とはまた違う情操教育に繋がればと思っています。
 さて、4月の徳目(より良く生きるための基本となるもの)は「合掌(がつしよう)聞法(もんぽう)」「敬う心をもって人の話を聞こう」という意味です。「聴く」は「聞く」より積極的に耳を傾ける意味合いがあります。異年齢保育を通して年上の子は「年下の子が言っているから」年下の子は「お兄さんお姉さんが言っているから」と相手を思いやり、双方話を「聴こう」とする機会が増えるのではと考えております。
 「話を聴く」ことは集団で生活する上で重要な土台です。それぞれが自分の好きなことを優先させていれば、保育士の話が通らず「私はあっちに行きたい」「ぼくはもっとこっちで遊びたい」となって収拾が付かなくなり、話を聴いている子達の活動も進まなくなります。これまで以上に色々な事にチャレンジ出来る集団になれるよう「話を聴く」を意識して関わっていきます。(2024.4)

智慧とは

2024/03/06
 町営のスキー場が昭和32年の開業以来、初めてオープンを断念するといったニュースが先日報道されました。今年は雪かきをする機会が本当に少なくて楽だった半面、雪を頼りにしていた方にとっては大打撃でもあるんだなと、雪が少ないことによるデメリットも考えさせられる機会となりました。園でも、そり滑りが出来なかった年は初めてだったのではないでしょうか。また、夏はこれまでにない暑さで、長い期間水遊びを楽しめましたが、9月に入っても暑さを心配する事態となりました。異常気象が通常になりつつある今、本当に見通しが持てない世の中になってきていると感じます。
 さて、3月の徳目は「智慧希望(ちえきぼう)」、「希望をもち、楽しく暮らそう」です。智慧とは物事を広い視野で肯定的にとらえ、新しい事態に対して問題解決が出来る知識の事を言います。これからは一層見通しがもてず、正解が刻一刻と変化していく時代になっていくと思います。だからこそ、この「智慧」が大切になってきます。見通しがもてることに越したことはありませんが、そうでなくても悲観せず、目の前にあるものを丁寧に取り組んでいくことが、前向きに繋がっていくのだと思います。
 学年が1つ上がり、りんごさんは小学生に、めろんさんからすももさんは1つお兄さんお姉さんになり、立場や状況に大きな変化があります。新しい環境でも、常に「明るく」、そして「正しく」見聞きし、仲間と「仲良く」協力してこれからを切り開いていくことを願っています。
 卒園・進級、おめでとうございます。(2024.3)

明らかにする

2024/03/06
 「諦観【たい(てい)かん】」という「本質を明らかに見て取る」「悟りの境地にあって物事を見る」といった意味のある言葉があります。なぜ、「諦(あきら)める」という漢字が入っているのに「本質を見る」になるのか不思議に思うかもしれません。ここでの「本質を見る」とは、起こってしまったことに対し「ああすればよかった、こうすればよかった」と色々考えるのではなく、「どんな状況なのだろうか」とよく観察し現状を理解するいう意味合いが強くあります。そして、自分の思い通りにならない結果に「何でこんなことになるんだ」と苦痛を感じるのではなく、「そんなこともあるものだ」と心穏やかに過ごすことが本来の「諦」の意味です。現在遣われている「断念する」という意味の「諦める」はもともと、もっと前向きな意味だったのです。
  2月の徳目は「禅定静寂(ぜんじょうせいじゃく)」、「よく考え、落ち着いた暮らしをしよう」です。ここでの「よく考え」とは、上記の「本質を見る」に繋がります。それまでの過程をいい加減にしたり、最初から諦めても良いということではなく、やれるだけのことはやった上で結果を受け入れることにより、落ち着いた暮らしが出来るということです。
 ロックバンドMrs.GREEN APPLE。子どもたちが大好きで、楽曲の1つ「ケセラセラ」が結構な頻度で家の中に流れています。この「ケセラセラ」も、もともとはスペインの言葉で「なるようになるさ」という意味があるため、ふと過去に書いたコラムを思い出し、「よく考える」ため、改めて書き直してみました。(2024.2)

笑う門

2024/01/05
 今年のM-1グランプリは令和ロマンというコンビが優勝し幕を下ろしました。トップバッターで漫才を披露したコンビが優勝するのは、第1回大会王者の中川家依頼、22年ぶりでした。そんなM-1グランプリですが、地域別の視聴率を見ると関西の方が関東の方より10%程高くなっています。しかし、都道府県別の視聴率を見るとなぜか青森県が全国で1番高いそうです。そのことを受けて、例えば、お笑いコンビサンドウィッチマンの富澤さんの台詞「ちょっと何言っているか分からない」が「ちょっと何言っちゅがわがんねぇ」といった具合に、青森県だけに歴代M-1ファイナリストのネタを津軽弁や南部弁に言い換えた番組PR看板が12箇所設置されました。そして、その設置場所を繋ぐと左上図のように【M-1】となるという手の込みようで、M-1グランプリPR事務局が感謝の気持ちを込めて企画したそうです。今年はどのくらいの方が番組をご覧になったでしょうか。
 1月の徳目は「和顔愛語(わげんあいご)」「柔らかい顔で、優しい言葉を」です。和顔とは笑顔のことですが、笑いや笑顔には脳の活性化や血行促進、筋力アップといった身体的影響と幸福感のアップといった精神的影響があるそうです。笑う門の「門」とは家族のことを指します。年末年始は気温が上がるようで、気温の上下がめまぐるしく体がついていかなくなりそうですが、笑いや笑顔の年末年始でご家族皆様ご自愛頂き、良いお年をお迎え下さい。(2024.1)

醍醐味

2024/01/05
 メジャーリーグの大谷翔平選手が2021年度ぶり2回目の年間MVPを受賞しました。今回も1位票が満票でこれは史上初の快挙なのだそうです。今年度は、日本が優勝したワールドベースボールクラシックという野球の世界大会でもMVPを受賞しました。公式戦終盤は右肘の手術のため試合には出られず、ご本人も「心残りである」とのコメントを残しておりますが、打者としてはアジア人初の本塁打王を獲得し、投手としても10勝を収め、「野球の神様」と呼ばれるベーブルースでも成し得なかった史上初の「2年連続2桁勝利&本塁打」も達成しており、大活躍の1年と言えるのではないでしょうか。
 高校生まで続けていた投手と野手の二刀流を、プロ野球でも続けることに「難しいのではないか」と考える人も多かった中、当時大谷選手の所属チーム監督だった栗山さんは「先入観にとらわれず」を意識してどうやったら実現可能か模索し「誰も歩いたことのない道を歩いて欲しい」という言葉をかけたことにより大谷選手は決断できたそうです。そして「練習って面白いんですよ。練習を通じて自分の長所や能力を『発見』することもそう。そういう『気づき』を得る瞬間があるのが練習の面白さ、醍醐味ですね。」という考え方がこれまでの様な結果に繋がったのだと思います。
 12月の徳目は「忍辱持久(にんにくじきゅう)」、「根気強く取り組もう」です。「忍」という漢字が入っていると「辛くても頑張る」のようなニュアンスや、「課題」となると解決が難しいイメージに捉えがちですが、課題を分解して手がつけられそうな部分から取り組むことで糸口が見えたり、少しでも解決に向かうことで、意欲も湧きやすくなったりします。根気強く取り組むためには課題のキリトリ方が重要なのだと思います。そこが一番難しいところですよね…。(2023.12)

諸法無我

2023/11/01
 明日はいよいよ運動会です。すももさん、くるみさん、ぶどうさんは少しずつ普段の生活で身につけた基本的生活習慣を競技に反映させ取り組みます。めろんさん、りんごさんは春から太鼓やカラーガードに親しみながら練習を積み重ねてきました。また、今年も子ども達はバルーン遊戯で協力して演技します。そして、今年はぶどうさん以上の親子競技をリレー形式で一緒に行うという初の試みもあります。子ども達はお家の方と競技をすることを非常に楽しみにしています。あとは、園庭で出来るよう天気が良いことを祈るばかりです。
 さて、今月の徳目は「同時協力(どうじきょうりょく)」、「お互いに助け合おう」ということです。私の話で時々出てくる「諸法無我(しょほうむが)」「世の中のすべてのものごとは、つながりあっていて、個として独立しているものはなにもない」人で考えると「周りによって生かされている」と捉えることが出来ます。「個」が優先されてしまいがちな世の中ですが、周りがいるからこそ「個」が輝けるのであって、だからこそ周りを大切にしなくてはなりません。園目標の「仲良く」することは楽しく嬉しいことだ、他者を傷つけたりワガママを通そうとすることは悲しくつまらないことであることに気づき、自らの力で選択できるよう促せる環境を整えていければと思います。
 お笑いコンビ笑い飯の哲夫さんが非常に仏教に詳しく、さすが芸人と感じる言葉選びのセンスで仏教用語を面白く説明しています。引用したかったのですが、文章のほぼ全部になってしまいそうだったので泣く泣く諦めました。是非みなさんも検索してみて下さい。(2023.10)

とっておき

2023/09/08
 私が子どもの頃「とっておき」と呼んでいたものがあります。ミッキーマウスのアニメが好きだった私たち兄弟は、普段見ていたミッキーのビデオの他に、両親がどうしても出かけなくてはならず、子ども達で留守番をしなければならない時にだけ見ることのできるミッキーマウスのビデオがあり、そのビデオを「とっておき」と家族で呼んでいました。その当時は祖父母もいるので留守番として困ることはありませんでしたが、普段は見られないミッキーのストーリーが見られるとあり、滅多に留守番することはありませんでしたが、楽しみな側面もありました。
 今月の徳目は「報恩感謝」「あらゆることを有り難く感じよう」です。「有り難い」とは「存在することが難しい」という意味から「めったにないものに感謝する」へ転じていきました。今にして思うと「とっておき」があったからこそ留守番も苦にならずむしろ少し楽しみで、大げさに言えば「とっておき」を有り難く感じていました。今の世の中は本当にモノにあふれています。最近は「とっておき」という言葉をあまり聞かれなくなったような気もします。特に子ども達の欲しがるモノは比較的簡単に手に入る世の中になってきました。だからこそ、あえて「とっておき」を作っておくことが、有り難く感じられるような機会を作る1つの方法のように感じます。いずれにしても、何でもかんでも与えたりやってあげたりやらせてあげたりするのではなく、そのバランスが大切であるということだと思います。
 暑い日が続き、毎晩飲みたくなるところをぐっとこらえて、週末の「とっておき」にしてみようと思います。(2023.9)

自分を高めるために

2023/09/08
 今回、園だよりが600号を迎えました。平成26年に副園長として文責を引き継いで9年5ヶ月。月1回のコラムではありますが、なんとかここまで続けることが出来ました。これも読んで頂いた方々から「コラム見ました」「このコラムはどういう意味ですか」などとコラムに関して声をかけて頂いているからこそです。私のつたない文章にお付き合い頂きこの場をお借りしてお礼申し上げます。そして、これからも宜しくお願いいたします。
 これまでのコラムを読み返してみると、そういえばそんなことを考えていたなと思いにふけることもあり懐かしいですが、このように保護者の皆様にお伝えする内容を考える事で、自分自身の考えを整理する良い機会にもなっていたことに気づきます。たった月1回のことではありますが非常に有意義な機会です。
 さて、8月の徳目は「自利利他(じりりた)」「自分を高め人に尽くそう」です。世の中の変化は年を追う毎にめまぐるしくなり、情報をどんどんアップデートしていかなくては対応できない状況になりつつあります。その中で、自分の考えを整理し、自分自身の核となるものを見つけたり、見失わないようにしなければただ情報に飲み込まれていくだけになってしまいます。私のコラムは自利利他のような高貴なものではありませんが、自分を高め人に尽くすためには、しっかりと自分を持つことが大切であることを徳目と600号という切りの良い数字を見て感じました。
 「具体的に、分かりやすく」を意識した保育を目指しているはずなのに、非常に抽象的な内容になってしまいました…600号に免じて許してください(^_^;)(2023.8)

より、そう、ちから

2023/07/06
 先日、とある社会福祉法人の方と「寄り添う」という言葉についてどう考えますかと聞かれ、意見交換をしました。「寄り添う」とは元々「もたれかかる、そばに寄る」という物理的な意味でしたが、そこから「親身になって相手の気持ちを理解しようと努める」意味に変わっていきました。その方と話を進めていく中で、今年の方針説明でお話したアメリカのコラムニスト、アン・ランダースの言葉「子育てとは 子どものためにしてあげることではなく 子どもが自分でできるように 教えてあげることである」を思い出しました。子育てにおいて「寄り添う」の本当の意味を深く理解していないと、ともすればただやってあげることに終始し、いつの間にか自立から遠ざけてしまうことになるのではないかと感じます。子どもの特徴を踏まえどんな関わり方がその子の自立に繋がるのかを考え、そして促すことが子育てにおける「寄り添い」なのだと思います。
 さて、7月の徳目は「布施奉仕(ふせほうし)」「誰にでも親切にしよう」です。以前の園だよりでもお伝えした通り、子どもたちの力で「仲良く」遊べるようになることが当園で目指す姿の1つです。保育者がただ一緒に子どもたちと遊ぶのではなく、その中で関わり方を教え、少しずつ保育者が中に入る時間を減らしていくことを目標に日々取り組んでいます。
 「親切という名のおせっかい そっとしておくおもいやり」相田みつをの言葉ですが、人間関係においてこのバランスが難しいです。「寄り添う」という言葉の本当の意味に「より、沿う」ように気をつけていきたいものです…暑い日が続くので少しでも涼しくなっていただきたく敢えて駄洒落で締めてみました。(2023.7)

それが大事

2023/06/06
 6月になると、毎年恒例のりんごさんによる野菜の苗植えが行われます。子どもたちがお世話した野菜は、お昼に園のみんなで頂きます。今年もおいしい野菜が出来ることを心待ちにしているところです。ところで、植物を育てる際に、水や肥料は成長に不可欠なものですが、与えすぎてしまうと腐らせてしまいます。あえて制限することで、野菜が根をしっかり張ったり、養分をため込んだりして栄養価が高くなります。また、麦の苗は踏むことで根張りが良くなり、冷害に強くなると言われています。いずれにしても、大事にしようとたくさん与えすぎたり守りすぎたりするのはむしろ逆効果であり、適切な関わり方、関わるタイミングが良い野菜を育てる秘訣だということです。
 さて、6月の徳目は「生命尊重(せいめいそんちょう)」「命を大切にしよう」です。「大切に」という言葉は「守ること」のイメージが先行しますが、いかに自身の力で命を灯し続けられるか、つまり、自分の力で大きく成長できるように育てていくことが「大切に」することだと思います。同時に、子育てにおいて重要な視点です。何でも無条件で与えたり、ただやみくもに関わったりしてしまうことは、自立を妨げることに繋がります。そして、「何でも自分が優先」が叶わない集団においては、他者との関わりが円滑にいかなくなる原因にもなります。与える機会や関わる場面を見極め、メリハリをつけることこそが命を大切にすることに繋がるという視点を持ち続けていきたいものです。
 子育ては一筋縄とはいきませんが、負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じ抜く事を信条に取り組んで参ります…このコラムの題名から結びを連想できた方、同世代ですね!(2023.6)

一事が万事

2023/06/06
 3月に行われたWBC。皆さんはご覧になったでしょうか。投打とも大活躍でMVPになった大谷選手はもちろんのこと、私は日系人から初めて選出されたラーズ・ヌートバー選手が非常に印象に残りました。本人はとても緊張していたと様々な記事で目にしますが、それを感じさせない朗らかな雰囲気と全力プレー、そして仲間の活躍を誰よりも喜ぶ姿は私の心を一気に鷲づかみにしました。そして、ペッパーミルパフォーマンス。「小さなことからコツコツと継続していけば、良いことが起きる」という意味が込められているそうですが、それをチーム全員で取り入れたことでより一体感を生みました。その点でも、侍ジャパンが優勝できたのはヌートバー選手の存在が必要不可欠だったと感じます。
 さて、5月の徳目は「持戒和合(じかいわごう)」「決まりを守り、集団生活を楽しもう」です。この度、インターホンと解錠ボタンはだっこなどして子どもに押させることなく、必ず大人が操作してくださいとお願いしたところ、早速取り組んで頂いております。ご協力本当にありがとうございます。もしかしたら、「ちょっとくらい」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのちょっとくらいの積み重ねが望ましくない行動を学び、習慣化し、自分の思いが通らないと意固地になってしまうという姿に繋がってしまいます。小さな事ですが、日常生活の些細なことを園全体でコツコツと取り組んでいく先には、子どもたちの素晴らしい成長が見えてくるものと信じています。
 2ヶ月ほど前から思い立って、「ご飯をよく噛む」を実践していたら最近体重が減ってきました。嬉しくなり「ちょっとくらい」と多めにご飯を食べたらあっという間に戻ってしまいました。コツコツが定着するには時間がかかるものですね…。(2023.5)

10年目突入

2023/04/12
 ご入園・ご進級おめでとうございます。多くの方から入園・進級をお祝いして頂くことは、子ども達にとって新たな気持ちで今年度を迎えることができる機会となります。また、職員も改めて気を引き締める機会にもなります。保護者の皆様と連携しながら今年1年子ども達にとってベストな環境作りを進めていきたいと思います。
 園だよりを書き始めて10年目に突入しました。少し読み返してみると、こんなことを考えていたんだという振り返りや、頭の整理がされました。振り返ってみると、どうしたら目を留めてもらえるだろうと試行錯誤を繰り返した日々でした。やはり、面白い内容でないと気には留めてもらえません。そういう点ではまだまだ道半ばだと痛感しながら今も書いています。
 さて、4月の徳目(より良く生きるための基本となるもの)は「合掌(がつしよう)聞法(もんぽう)」「敬う心をもって人の話を聞こう」という意味です。子ども達に人の話を聞く姿勢を身につけさせるためには、やはりまず子ども達が注目する工夫が必要です。ただ「聞きなさい」というのは簡単ですが、それは子ども達自ら進んで聞こうとする姿ではありません。職員みんなで試行錯誤しながら子ども達が意欲的にお話を聞く姿になるよう模索しています。
 これまでの園だよりを読み返していたのは、ネタがなくて昔の自分からアイディアをもらおうとしていたからだということは、気づかないふりをしてもらえると助かります。そしていつもより文字が大きいことも…。(2023.4)

様々な視点をもつこと

2023/03/02
 【「じたばたしたり苦しんだりした時は、実はチャンスなんだ。自分に何が起きているかをしっかり観察すると、見えてくるものがあるみたいだ。」「いそがしい時間をすごしたあと…、何もしないでいると、のどかでいいなと感じる。何もしないでいる時間のあと、何もすることがないと、退屈を感じる」】仏教の思想を基に、ブタのキャラクターが悩みながら自分の生き方を見つめ直すシッタカブッタという4コマ漫画シリーズ。ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。上記はそこから抜粋したエピソードです。この2つには一見共通点がないように感じますが、「視点の変化」という点で一致しています。「私たちは心のクセで物事を見ている」「私たちは物事をちゃんと見ていないから、苦しみを生み出す」「悩みの種を育てているのは自分自身」今一度噛みしめたい言葉です。
 さて、3月の徳目は「智慧希望(ちえきぼう)」、「希望をもち、楽しく暮らそう」です。「智慧」とは知識を持つことではなく「気づくこと」です。様々な立場や角度から見ることで新たな気づきが増え、これまでとは違うものの見方が出来るようになります。仏教において、私たちが苦しむ時は、かたよった見方をしている時であり、かたよった考えに振り回されて自分を見失っているいるからこそ苦しむと説かれています。一方で気づきを増やすことで見方が変わり、希望が持てるようになります。心のクセで物事を見がちな私たちは、ここが一番難しい部分であり、私自身、しょっちゅう固執によって自分自身を苦しめていると後になり反省する日々です。執着しない軽やかな心を育てたいものです。
 「なんのことはない 幸福の青い鳥は はじめから 自分といっしょにいたのだ」カッコイイ台詞ですね。私が言ったことにしたいのですが、これもまたシッタカブッタシリーズからの抜粋です…。(2023.3)

平常心

2023/02/04
 ぶどうさんからりんごさんまでが行う、月に1度のお寺でのおつとめ。自分の力で自分の気持ちを落ち着ける練習の一環として取り組んでいます。いつもは元気いっぱいの子どもたちも、比較的落ち着いて取り組めているこの活動。『やってみて、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ』という言葉がこの活動を表していると感じます。1回目の時は、本堂でのおつとめの仕方を子どもたちに簡単に説明しますが、先生達も一緒に膝を折り、目をつぶって、手を合わせることで、子どもたちは真似をします。おつとめ後は園長からの話として、静かに鐘の音を聞いていられたことを伝えます。もちろん、子どもによっては目をつむったり、手をピンと合わせたりすることが難しい事もありますが、それでも声を出すことはほとんどなく、それぞれの出来る範囲で自分の気持ちを落ち着ける練習の時間になっていると感じます。
 さて、2月の徳目は「禅定静寂(ぜんじょうせいじゃく)」、「よく考え、落ち着いた暮らしをしよう」です。「気持ちを落ち着ける」という概念を教えることは難しいですが、一緒に体験することで感覚として身につけることは可能であると思います。好きなモノが常に身近にある状態は、それがなければ心を乱され、落ち着かなくなりやすい状態にもなり得ます。情報やモノに溢れ、いつでもどこでも好きなものを見たり聞いたり体験出来る、欲求が簡単に叶いやすい世の中だからこそ、意識的に欲求が叶う状態から距離を取り心を落ち着ける時間を大人も子どもも設けたいものです。
 「保育園への電話がボイスワープで自分のスマホに届いているかもしれないから。」と言い訳しながらスマホが手離せなくなっている今日この頃です。(2023.2)