青森県上北郡七戸町字町7-2
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足元

2018/12/03
 お笑いコンビキングコングの西野亮廣さんが作った絵本「えんとつ町のプペル」をご存じでしょうか?物語の舞台はえんとつ町という煙突だらけの町。町は崖に囲まれ煙突から出る煙に覆われ、住む人は青い空や輝く星を知らず、見上げることもしません。そんな町に突如現れたゴミ人間プペルと、町に住む子どもルビッチが友だちになります。そして、ルビッチの既に亡くなった父親が言った「煙の上には星がある」という言葉を信じ、周りは誰も信じてくれなくとも、最後には二人で星を見ることができる、というお話です。作者は、人が大人になる過程で皆が折り合いをつけて捨てた夢や希望を、捨てたという観点から「ゴミ」となぞらえ、まだ夢を持ち続けているという意味で、主人公をゴミ人間にしたそうです。元々は書籍として販売していましたが、先日ネット上に無料公開し、再度話題となりました。ご興味のある方は一度ご覧になってみて下さい。
  この本を読み、足元にあるもの、そして目の前にあるものを大事にするからこそ上を目指せる、思いが届くのではないかと感じました。ただやみくもに先を見るのではなく、足元を見ることの大切さを改めて考えました。
  さて、2月の徳目は「禅定静寂(ぜんじょうせいじゃく)」、「よく考え、落ち着いた暮らしをしよう」です。進級・進学まで2ヶ月程度となりました。次のステージをイメージし、期待に胸をふくらませることは当然のことであり、とても大切なことでもあります。その一方で今の生活をもう一度振り返ることも同じくらい大事なことであると感じます。それが仏教保育で「禅定静寂」を2月の徳目とした理由であると私は考えます。しっかり足元を固めた上で次のものに目を向けられるよう、支援していきたいと思います。
  写真撮影の際、足が隠れる位置で背伸びをして、少しでも背が高いように写ろうと、足元がふらつく私です。(2017.2)

熟考

2018/09/25
  患者の細胞から病気を診断することが仕事の病理医というお医者さんがいます。近年は組織や細胞を用いた診断の比重が増しており、細胞や組織を顕微鏡等で見て病気による変化の有無や広がり、良性・悪性の区別、腫瘍の分類などを診断する専門家として、治療方針決定などにも関わるようになってきているそうです。正しい診断をするためには、患者さんの症状から判断する最初の見立てにとらわれることなく、本当の原因を探すことが重要であり、最終判断の決め手として、病理医の診断はなくてはならないものになりつつあるようです。そんな話を聞いた時、自分自身も物事を見る時に多角的に捉えられず、一つの視点や先入観だけで見ていることはないだろうかと、ハッとさせられました。
  さて、2月の徳目は「禅定静寂(ぜんじょうせいじゃく)」、「よく考え、落ち着いた暮らしをしよう」です。人間は、よく考えているようでいて、実は自分が最初に考えたことに信憑性をもたせるための根拠を探しているだけで、思考そのものはストップしていることがあります。このことは子育てに関しても言えるのではないでしょうか。私自身「自分の子どもは○○だ」と思ってしまいがちです。そんな時に、いったん頭をクリアにしてもう一度子どもを見つめることで、新たな一面や更に成長させられるきっかけを発見できるかもしれません。
  保育園でも、子どもたちが更に心身共に大きくなるために、様々な角度から子どもたちを見つめ、多くの発見を成長に繋げられるよう、一層努めて参ります。
  実は、今回の病理医というテーマは、ドラマからヒントを得たのですが、「また、園長はテレビの話をして…話題はそれしかないのか。それこそ思考停止しているじゃないか。」と言われかねないので、気づいた方はそっと自分の胸にしまって頂き、気づいていない方には内密にお願いします。(2016.2)

「静」と「動」

2018/05/30
 当園では、月に一度本堂でおつとめをしております。本堂の大きな鐘を3回叩く間、園児達は目を瞑り、手を合わせています。時間にすると90秒ほどではありますが、子どもにとっては長い時間に感じられるかもしれません。それでも、回数を重ねていくうちに、じっとしている時間が長くなっており、子どもたちの成長を感じることができます。
  一方、最近の世の中は、「インターネットをはじめ、今の多くのコミュニケーションツールは、情報を『好きなときに発信して、好きなときに受けとる』ことができる。これはこれで大変に便利な機能だが、一方で、実際の会話のようにリアルタイムで話をし、自分の伝えたいことを伝え、相手の伝えたいことを受け止める、そして誤解があったらそれをキチンと正す、というトレーニングをする機会が減っている。相手との誤解が生じたり、感情的になったりした場合、ネットのときと同じように、コミュニケーションを絶ってしまう。【ダイヤモンド・オンライン 2015年1月21日(水)配信】」と、目まぐるしく変化し、立ち止まって考える機会があまりないように感じます。
  さて、2月の徳目は「禅定静寂(ぜんじょうせいじゃく)」、「よく考え、落ち着いた暮らしをしよう」です。近年上記のように、正確、不正確に関わらず情報が何でも簡単に手に入る世の中になりました。そして、すぐに結果を求めたがる風潮も感じられます。私自身、すぐにネットに頼ったり、自分の子育てにおいても、じっくり向かい合わなくてはならないことであるのに、息子達にすぐ結果を求めている時がある気がします。そんな世の中だからこそ、本堂でのおつとめのような、心静かに過ごす機会を設ける必要があると感じます。年度末に向け、一度じっくり今年1年を振り返ってみたいものです。
  その際は、できるだけアルコールを控えて取り組めるように頑張ることを、前向きに善処したい気もしないでもないです…(2015.2)